【これまでのあらすじ】
悪の総帥モリアーティ教授を降霊術で
呼び出そうとしたホームズたちだが、
ボヘミアに行くことにする。
稀代のハガキ職人アイリーン・アドラー嬢の
ボヘミア亡命を阻止するためだ。
パスポートも無事取得してボヘミアの王都
プラハにやってきたのだが、
ホプキンス警部が聖ヴィート教会で
行方不明になってしまうのだった。
教会の地下迷宮をさまようホームズたちだが、
なんと今しがた流れたばかりの血のあとを発見する。
はたしてその血はホプキンス警部の血なのだろうか…。

 
  

ホオオオオプキンスくうううううん!
ホオオオオプキンスくうううううん!
ホオオオオプキンスくうううううん!
ホオオオオオオオオオオオオオオオ
オプキンスくううううううううううううう
ううううううううううううううううん!!!!!!

なんだか前回と同じような
はじまり方だな。

 
 

まあそういうなよ、
教会の一階で頭をかきむしったまま
待っているワトスン君。
このような様式美が探偵には
必要なのさ。

なるほどまったく君の言うとおりだったよ。
君の高邁な考えを理解できなかった
自分を恥じ入るよ。
 
   

はっはっは、わかればいいんだよ
教会の一階で頭をかきむしったまま
待っているワトスン君。
君のような蛆虫野郎にそう簡単に
理解できるとはハナから思って
いないからさ。

なるほどまったく君の言うとおりだったよ。
君の高邁な考えを理解できなかった
自分を恥じ入るよ。

 
   

はっはっは。

なるほどまったく君の言うとおりだったよ。
君の高邁な考えを理解できなかった
自分を恥じ入るよ。

 
   

おや?

なるほどまったく君の言うとおりだったよ。
君の高邁な考えを理解できなかった
自分を恥じ入るよ。

 
   

おい。

なるほどまったく君の言うとおりだったよ。
君の高邁な考えを理解できなかった
自分を恥じ入るよ。

 
   
どうしたんだっ!
教会の一階で頭をかきむしったまま
待っているワトスン君!
様子がおかしいぞっ!
なるほどまったく君の言うとおりだったよ。
君の高邁な考えを理解できなかった
自分を恥じ入るよ。
 
   

いやああああああああああああっ!

おちついてっ!  
 

うわっ!
モ、モリアーティ教授っ!
その異常に白い肌、ルビーを埋め込んだ
ループタイ、甘樫の杖!
そして邪悪のかたまりのような金色の眼!
お前は、モリアーティ教授だなっ!!

おちついてっ!
私はあなたの心の中に住む、
『人間には善と悪が混在していて
どちらがよいか悪いかを即断
することはできない。それが人間というものだ』な
モリアーティ教授よ!

 
 

そ、そうなのかっ!
それより、あの教会の一階で
頭をかきむしったまま
待っているワトスン君の様子は
どうしたものなのだっ!

 
なるほどまったく君の言うとおりだったよ。
君の高邁な考えを理解できなかった
自分を恥じ入るよ。
 
 

いったい、これはどういうことなのだっ!

おちついて。
ここは教会の地下迷宮。
だから、ワトスン君は目の前にはいないのよ!
 

そ、そんなばかなっ!
この目の前に、あの教会の一階で
頭をかきむしったまま
待っているワトスン君が
いるじゃないかっ!

だからワトスン君は、教会の一階で
頭をかきむしったまま待っているのよっ。
 
 
じゃ、じゃあ、
この目の前のワトスン君は一体…。
ウクライナの伝説にこのようなものがあるわ。
「闇の中には魔女がいる。
そしてその魔女は自分と同じ顔をしているのだ。 」
 
 

と、いうことは…

そう、あのワトスン君は、
この闇の中の孤独という極限状態で、
あなたの心が生み出した幻に過ぎないのよ!
 
 


そんなっ!
僕の顔があんな醜いヒゲ面だなんて!
認めないっ!認めないぞおっ!

人の話を聞け。  
 
イヤダイヤダイヤダ!
…いい?
あなたの大事なホプキンス君が
行方不明になってるのよ。
こんなところでそんな幻に付き合ってる
場合なの?
 
 

はっ!そうだった!
ホプキンス君!
ホプキンスくううううううん!

だからくだらないことを言ってないで
さっさと血の跡を追うのよっ!
 
 

わ、わかったよ。
こちらのほうに続いているな…。

血の間隔が広いわ。
この出血でこんなに早く走るのは無理ね。
 
 

と、言うことは…?

この血を流している人間は、
走っている誰かに抱えられていた、
ということよ。
小柄なホプキンス君に誰かを
抱えるなんて無理だから、誰かというのは
別の大人の可能性が高いわ。

 
 

そんなっ!
僕以外の男にホプキンス君が
抱かれるなんてっ!
いやっ!いやっ!いやっ!

そんなこと心配してる場合じゃ
ないだろうがっ!
命のほうを心配せんかっ!

 
 

僕のものにならない
ホプキンス君なら、
いっそ誰のものにもならずに
死んでしまったほうがいいいい!

おちつかんかあああああっ!
びしっ!ばしっ!ぼぐっ!
 
 

ぐわっ!

ほら、耳を澄ましてみて、
何か声が聞こえない?
 
 
え?
 
ズさああん…  
 
はっ、
あれはホプキンス君の声!
僕を呼ぶ声だっ!
 
1895年度の英国警視庁編纂の
野菜を使った犯罪者件数の
調査はあまりにも杜撰…。
 
 
…。

声はあの角を曲がったところから
聞こえてくるわ!
さあ!行くのよ!

 
 

よしっ!
だああああっ

あっ!…ホームズさん…!
 
 

ホプキンス君っ!
無事かっ!
さあ僕の腕の中に…
ぐわっ!

ホプキンス君を
捕まえてる男の姿が目に入らんのか
お前はああああ!
 
 
はっ!
ホプキンス君の可憐な濡れた唇しか
目に入らなかった!
貴様!一体何者だっ!

ぐぬうううう…

 
 

…ものすごくでかいな。
その覆面をとれっ!

 
こういう場合現実にはなかなか
取る奴はいないわ!
 
 

うぬ、そうか。
では僕の得意技、東洋の格闘技
バリツで…

ホームズさあん。  
 

なんだっ!今忙しいから
あとにしろっ!

格闘技より僕の持っている拳銃のほうが
威力がありますよ。

 
 

やかましいっ!
とにかくバリツの真髄を見るがいい!
はああああっ!
しゅっ!

ぐわっ!

 
 
ああっ!
ホームズさんが投げた何かが
大男の額に当たり、
ホプキンス警部を取り落として逃げて
行きましたッ!
解説してるヒマがあったら追いなさいよ、
ボケレストレードっ!
それにしてもなにを投げたの?
 
  

幻を投げるなあああっ!  

 

一体ホプキンス警部をさらっていった
男の正体は!?皇太子となにか関係が!?
謎が謎を呼ぶボヘミアの醜聞!
つづく!

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