開催期間 2005.11.12-11.19
第34回嘘競演。テーマは「こころ
くまきち議長


振り向くな、君は美しい

柳沢  「ぬおりゃあああっ!」

アナ  「おおっと!生類憐高校の柳沢君、小学生が街を美しくしようと駅前に植えた
     花壇を見事に踏みにじったあ!」

解説  「いやあ、まったくこれはひどい。小学生達に心の傷を深々と刻み込みました。
     さすがに柳沢君、超高校生級の心なさですね。」

アナ  「これは橘君もつらいことになってきましたね。」

解説  「そうですね、初出場の墾田永年私財高校一部の心ない人部を決勝進出まで導
     いた橘君ですが、やはり心なさのプリンスと呼ばれる柳沢君が相手では厳し
     い戦いとならざるをえませんね。」

橘   「くそうっ、柳沢、なんて心ない奴…」

柳沢  「ふっふっふ、どうした?橘?もう限界か?だったら参ったと言うんだな。」

橘   「くっ…俺は、俺はまだ負けちゃいねえっ!」

柳沢  「ふっ、面白い!だったら遠慮なく行かせてもらうぜ!だりゃりゃりゃああっ!」

アナ  「おおおっとお!柳沢君、犯罪被害者の家族の方の自宅に、怒涛の無言電話攻
     撃だ!」

解説  「いやあひどい、家族の方の心労をなんだと思っているんでしょうね。まった
     く心ない。」

柳沢  「まだまだあっ!そりゃああっ!」

アナ  「おおっと!柳沢君、若手芸人の前に現れ、そのネタもう飽きたと言い放った!」

解説  「お笑い芸人はガラスのハートだということをまったく考慮に入れていません
     ね。実に完璧な心なさです。」

橘   「う…う…」

柳沢  「ふっふっふ、そろそろ遊びは終わりだ。とどめをささせてもらうぜ!」

橘   「…だ、だめだ…」

藤原  「橘君!負けないで!絶対勝つって言ってたじゃない!」

橘   「ひ、ひかり!なぜここに!?お前、ロンドンに行くんじゃなかったのか!?」

巨勢  「橘!一部の心ない人部での練習を信じるんだっ!」

橘   「先生!」

大伴  「しっかりしろ橘!負けたら承知しねえぞっ!」

橘   「番長!」

長屋  「準決勝で戦った時のお前は、そんなもんじゃなかったはずだぜ!」

橘   「ライバル!」

石川  「橘君!今までのことはあやまる!だから勝つんです!君が勝ったら、廃部命
     令は取り消しです!」

橘   「小役人!」

紀   「橘!」 

石上  「橘!」

県犬養 「橘!」

橘   「みんな!うおおおっ!俺の、俺の全てをこの技にかける!」

柳沢  「来るかっ!」

橘   「とおりゃあああっ!」

アナ  「おおっ!橘君が電話をかけたああっ!」

警察  「こらお前ら何やっとんねん。」

アナ  「おおっと!国家権力だああっ!警察の登場だあっ!」

警察  「花壇めちゃくちゃにしたんお前か。ちょっと来い。」

柳沢  「ぼ、僕そんなの知りませんよう。」

アナ  「なんということでしょう!橘君、この第21回全国高等学校一部の心ない人選
     手権を警察に通報したようです!そして柳沢君に各種法令違反の容疑がかかっ
     たあ!」

解説  「いやあこれは驚きました。これでは全国高等学校一部の心ない人選手権は中
     止のほかないですね。
     選手権の輝かしい伝統も、全国3000校、23万人の高校一部の心ない人部員の
     努力も全て水の泡です!
     一部の心ない橘君の行為でこんなことになってしまうとは!
     まったく残念であるとともに恐ろしいです!」

警察  「ええからお前らも来い。」

アナ  「それではみなさまごきげんよう!」

柳沢  「橘…今回は俺の負けだ!だが、俺は決してあきらめねえ!いつかお前より心
     なくなってやる!」

警察  「はよ来んかい!」

柳沢  「や、やめてくださいよう。」

 


宝石箱

徳政温泉清流館は寛政元年創業の老舗旅館。
かつて老中久世大和守も愛でたという名湯と絶景、
そして、清流館ならではの心づくしの料理の数々を
心ゆくまでご堪能ください。

お品書き

くらげと初恋の甘酸っぱい気持ちあえ

松茸と鱧と伝えようとして伝え切れなかった想いの包み焼

雲丹と同期で親友の山田が一歩先に課長に昇進した時の複雑な気持ちの茶碗蒸し

鱸と鮪と財布を無くして探している最中に10円玉を拾った中途半端な気持ちの造り

出してはいけないものを出してしまう落語家のしてやったりという心の土瓶蒸し

さまよっているオランダ人の心中の船盛

松阪牛と最近のアイドルはみんな同じ顔をしているように見える心境のすき焼き

柚子と食ったら片付けるからさっさとどけという想いのシャーベット


ひかれあう、ふたつのこころ

「お代官様、お代官様のお好きな山吹色の菓子でございます。」
「ほっほっほ、越後屋、気がきくのう。」
「いえいえ、いつもお世話になっておりますお代官様のためなら
これくらいは…。そのかわり、永代橋普請の木材請負の儀はなにとぞ…」
「わかっておるわ。魚心あれば水心、と申すでのう。」
「お代官様も悪ですなあ。」

【魚心あれば水心】(うおごころあればみずごころ)
相手に自分に対して好意を求める気持ちがあれば、
自分もそれに応ずる用意があること。

「お代官様、お代官様のお好きな山吹色の菓子でございます。」
「ほっほっほ、越後屋、気がきくのう。おや?なんじゃこの
焦茶色の菓子は?」
「はっ、それは南蛮渡来のチョコレートと申す菓子でございます。
西洋の暦で2月14日、好きになった男に対してこの菓子を渡し
思いのたけを打ち明けることができるのでございます。」
「なんと。」
「お代官様!初めて一緒に甘い汁を吸った時から、ずっとお代官様の
ことを想っておりました!どうぞ、私越後屋とお付き合いを
してくださいませ!」
「おぬしの気持ちはよくわかった。おぬしの思い、けっして
おろそかにせぬ。魚心あればホルマリン心と申すでのう。」
「お代官様も男前ですなあ。」

【魚心あればホルマリン心】(うおごころあればほるまりんごころ)
相手に自分に対して好意を求める気持ちがあれば、
それを自分の胸の奥に大事にしまっておくこと。

「お代官様、お代官様のお好きな山吹色の菓子でございます。」
「ほっほっほ、越後屋、気がきくのう。おや?なんじゃこの
白色無味無臭の菓子は?」
「はっ、とりあえずお召し上がりを。」
「うう、なんとしたことじゃ、猛烈に苦しいぞ。」
「はっ、それは青酸カリと申す劇毒物にござります。企業の出す
菓子にこの薬剤を混ぜ、企業を脅迫して現金を奪うことも
できるのでございます。」
「なぜそれをわしに飲ますのじゃ。」
「はっ、それはお代官様が私の気持ちにまったくこたえて
くれないからにござります。」
「うぬぬぬぬぬ、とうっ!ライダーキック!」
「うぐあああっ!」(越後屋爆発)
「越後屋、お主の、なんというか、その、気持ちというか、
毒を飲ませるとかいう好意がだね、つまり、僕の、なんというかだね、
まあつまり、魚心あれば藤岡弘、心ということなんだね、はっはっは。」
「お代官様も一号ですなあ。」

【魚心あれば藤岡弘、心】(うおごころあればふじおかひろしごころ)
相手の心が自分を食いつくさんとするアマゾンの奥地に澄む幻の殺人魚
トゥプカルのようであれば、自分は藤岡弘、となって、その真相を確かめんと
現地に赴くこと。ライダーキックの場合もある。



 

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