新科学随筆・まほろば

科学、それは人をまほろばにみちびくもの。
かつて人類は宗教や魔法や迷信といったいわれなき鎖につながれてきました。
その頃の人は、人ではなくロバでした。 みずからの知性を信じえない、哀れなロバでした。
しかし、現代の人々は科学という新たな力を手に入れました。
いまや自らにかけられた魔法から解き放たれ、ロバから人になろうとしています。
この魔法から解き放たれ、ロバから人になることを古語でまほろばといいます。
科学の力でまほろばへとみちびかれることにより、ようやく人は新たな世界に向かうことが出来るのです。

さあ、 新たな世界への扉を、あなたも開いてみましょう。

第一回  ブログのメカニズム


ブログとは
近年、インターネット上で流行しているのがブログ、と呼ばれるWebサイトです。
ブログは誰でも簡単に更新ができ、さらにコメントやトラックバックで相互の交流が出来るという優れた仕組みです。
ブログは即時性と双方向性に優れ、また個人が発信できるメディアとして、情報の世界に新たな局面をもたらしたと言えます。一方でブログは炎上や様々なトラブルをも生み出します。



ひろがるブログ
ブログとはそもそもweblog、つまりウェブ上の記録という意味です。
ニュース記事などへのリンクと寸評を書いたものがその始まりだと言われています。それから10年もしないうちに世界中に広がりました。
なぜ、このように急速に広がったのでしょうか。

一説には、ユーゴスラビアやイラクといった戦場からでも情報を発信できるという手軽さが一員となったと言われています。

しかし、それは皮相な見方と言わざるを得ません。手軽に情報を発信できることは、副次的な要素とはなりますが、主因とはなりえません。現に同じように手軽な情報発信手段・メディアである風船につけた手紙、瓶に入れた手紙、伝書鳩、矢文などはそれほど広がりを見せていません。
なぜ、このようなことがおこったのでしょうか。
それを考えるためには、ブログが書かれる仕組みを科学的に考える必要があります。


ブログの科学的な仕組み
ブログが書かれるのは、どういう科学的な原理によってなのでしょうか。

一般的な認識では、情報を伝えたい、他人とコミュニケーションを取りたい、趣味の分野での知識をのばしたい、みんながやっているから、などという点があげられています。

しかし、これらの理由は、科学的とよべるものではありません。
これらの理由は、人間の感情や思考に原因を求めるものです。しかし、人間の思考や感情が物質の反応に影響をもたらすことはありえないのです。物質の反応が起こらないということは、とりもなおさず物質の活動が元となって出来たブログが出来るわけではないということです。
では、どのような原理でブログは出来るのでしょうか。ブログを形成させようとするものとは、いったいなんなのでしょうか。ブログ生成のメカニズムとは、いったいなんなのでしょうか。

ブログの歴史はまだ10年ほどです。ブログの科学的研究はもまだ緒についたばかりです。かつての科学の命題の多くがそうであったように、多くの仮説が生まれ、それを互いに検証しあう段階が続いてます。では、それらの仮説の中からもっとも有力なものを紹介してまいります。


ブロギストン説
この説は、西サウスウェスト・スタンフォード大学のジェイコブ・マクラーレン教授が唱えている説です。
ブログを発生させる絶対条件は、人間がキーボード、あるいは携帯電話のキーを押す、と言うことに他なりません。つまり人がキーを押させる力が何か、ということです。

マクラーレン教授は、人間の体から放出された物質が、手指や脳に作用し、キーを押させるのだという説を唱えています。この物質をブロギストン (bulogiston・ブロ素)と言います。ブロギストンはブログを書きうる物質中に存在し、それが激しく放出される課程で指を動かし、脳にブログを書いたのだ、という実感をもたらすというのです。実際のブロギストン、またその放出課程はまだ観測されていませんが、飲まず食わずでブログを書いた後の体重の減少は確認されています。これは、体内からブロギストンが放出されたために、体重が減少したのではないかと考えられています。

様々なブロギストン
ブログに様々な種類のブログがあるように、ブロギストンにも様々な種類があると考えられています。これらのさまざまなブロギストンが反応、干渉し合うことによって様々な種類のブログが出来るのではないか、と見られています。
現在、南サウスウェスト・スタンフォード大学のチャールズ・スタンリー教授は、少なくとも三つのブロギストンが存在するのではないか、と見ています。それは自分を表現したいというブログを生み出す、アイデンティティ・ブロギストン(自己ブロ素)、理想化された自分を表現したいというブログを生み出す、ピグマリオン・ブロギストン(偶像ブロ素)、そして男らしく重厚な自分を表現したいというブログを生み出す、チャールズ・ブロギストン(チャールズ・ブロ素)が想定されています。

注目したいのはいずれもが自己を表現したいというブログを生み出すことです。これはブロギストンが自分から出たものだからと見られています。

ブロギストンの影響
ブロギストンの放出により、人はブログを書くことが出来ます。しかし人によってはブロギストンの放出度合いはことなります。まったく放出しない人はブログを書くことが出来ません。一方でブロギストンの放出力が高い人も存在します。ブログの女王と呼ばれる方などがそうです。また、放出力の強い人は、そのブロギストンを他人に作用させ、自分のブログだけではなくて他人にもブログを書かせることが出来ると言います。
また、ブロギストンの異常放出は、炎上やトラックバックスパムをもたらすのではないかとも言われています。
そして、ブログを書けない環境下での放出は、あらゆるボタンの連打という悪弊をもたらします。かつての高橋名人や、ためしてガッテンの出演者北斗の拳のケンシロウなどにみられます。このような症状が出ては、落ち着いてマッサージ師やアメリカ大統領になることも出来ません。


現代はブログのつきあい方だけではなく、ブロギストンとのつきあい方も考えなければならない時代といえるでしょう。




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