さあ、いよいよ目的のひとつ、にんじんコーナーにやってきた
カナエちゃん(8さい)。 うまくお買い物できるかな?

扇町アナ:にんじんコーナーといいましても、そんなにコーナーができるほど
にんじんって種類があるものですかねえ。

村田殿教授:まあそうですね。ニンジンは大きく分けて長根種、短根種、
細かい品種となると数え切れませんからね。

扇町アナ:さあ、そんな中でカナエちゃんは何を選ぶのでしょうか。

おや、なにか絹をかぶせたお盆と金属の棒を取り出しましたよ。

村田殿教授:ははあ、これはニンジンと、人参果をかんちがいしていますね。

扇町アナ:人参果、ですか。

村田殿教授:これはですね、西遊記という書物の中に出てくるのですが、
人間の赤子のような形をした果実で、六千年に一度しか実らず、金に遭えば
落ち、木に遭えば枯れ、水に遭えば溶け、火に遭えば焦げ、土に遭えば土の
中に入るという性質を持っています。ですから、これをとるためには金属の棒で
たたいて落とし、絹の布をかぶせた木の盆の上に置かねばならないのですが、
ひとつ食べれば四万七千年生きることができるというものなんですね。

扇町アナ:8歳なんだからニンジンのほうを知っていて欲しいものだと思いますが。

村田殿教授:まあそれほどまでに西遊記というのはすばらしいものなのですよ。
たとえば、大量の柿が腐った峠が…

扇町アナ:おや、次のそばコーナーにうつりましたよ。

村田殿教授:まだ話は終わってないっ!

扇町アナ:しかもニンジンはちゃんと買い物かごに入ってますね。

村田殿教授:わかってたんかいっ!

扇町アナ:あ、むこうから誰かやってきますよ。

おばちゃん:あらまあ、かわいらしい子やねえ。おつかいか?

村田殿教授:ああ、これはいいですねえ。

扇町アナ:そうですか。

村田殿教授:こういった大人とのふれあい、これこそがはじめてのおつかいの
醍醐味なのですよ。子供の無邪気さ、純真さがいやおうなく発揮されます
からね。こういった時の会話などが後々の人間形成にも大きくかかわって
きますしね。

 

つぎにすすむ