ふたご1

「サバという漢字ですか?魚へんにブルーと書いてから呪文を唱えて偉大なる破壊神鯖神様を呼び出すんですよー。」


ふたご2

「いつの間に終身名誉監督が邪教の信徒に。」


ふたご1

「わたしもあなたもなっていることでおなじみのヒトですが。」


ふたご2

「まあ不肖我々もヒトですが。」


ふたご1

「そのヒトの個体間の体格差は、他の動物に比べて小さいことがわかりました。」


ふたご2

「個体間というとそれぞれのヒトの間ですか。」


ふたご1

「そう、チェ・ホンマンさんと池乃めだかさんの間です。」


ふたご2

「そう聞くとすごい差があるように思えますが。」


ふたご1

「しかし多くの人間のサンプルを集めて平均的な差を出すと、人間の差などはまだまだだということなのです。」


ふたご2

「そうなんですか。」


ふたご1

「たとえば人間だと、同年齢で倍以上の個体差がつくことはあまりありませんが、魚などではよく見られるでしょう。」


ふたご2

「なるほど大物とかありますね。」


ふたご1

「しかし、こんなことでいいのでしょうか。」


ふたご2

「なにがですか。」


ふたご1

「他の動物がそんなに高い個体差間体長差を持っているというのに、人間だけが低い…。これは万物の霊長であるヒトの名折れだとは思いませんか。」


ふたご2

「思えませんが。」


ふたご1

「ですから、なんとかヒトの個体差を大きくする方向で人類は調整していきます。」


ふたご2

「簡単に決めるなあ。」


ふたご1

「問題はどうやって個体差を大きくしていくかですが。」


ふたご2

「そんな方法があるんですか。」


ふたご1

「確実とは言えませんが、方法がないわけではありません。」


ふたご2

「あるんですか。」

ふたご1

「まず人間の個体差がそれほど無いのはどうしてでしょうか。」


ふたご2

「同じように成長するからじゃないですか。」


ふたご1

「そうです。数ある動物の中だけで、人間は同じように成長する割合が高いのです。ではそれはなぜでしょうか。」


ふたご2

「それはわかりませんが。」


ふたご1

「それは、人間には他の動物と違った点があるからです。」


ふたご2

「なんですか。」


ふたご1

「それは服を着ているということです。」


ふたご2

「服?」


ふたご1

「そうです。服です。」


ふたご2

「服が個体差を決める点に関係あるんですか。」


ふたご1

「一度振り返ってみてください。」


ふたご2

「?」


ふたご1

「ほら、服の首元に『M』とか『L』とか書いた物があるでしょう。」


ふたご2

「振り返っても見えない部分についてますが。」


ふたご1

「あのように、服のサイズというのはだいたい決まっています。」


ふたご2

「まあそうですが。」


ふたご1

「このことから、『だいたい合う服のサイズに合わせよう』という親切心が個体に生まれ、差を最小限に抑えようとして成長が抑えてしまうのです。」


ふたご2

「間違いなく因果関係が逆ですが。」


ふたご1

「ですからすべてのアパレル関係にサイズ規制を外してもらうことが必要です。」


ふたご2
「そんなこといわれてもなあ。」

ふたご1

「ですからこれからは全員布を体にまく形で生活してもらいます。」


ふたご2

「ミイラじゃないんですから。」


ふたご1

「こうすればいくら大きくても細くても、アパレル業界に迷惑を掛けなくてすむという気持ちになり、思う存分様々な個体差を発揮できるのです。」


ふたご2

「いやまずアパレル業界に迷惑を掛けているという事実はどうするんですか。」


ふたご1

「といわれましても、アパレル業界に対する同情心が高い個体ではないので…」


ふたご2
「どれだけ痛みに強い個体かどうか実験してみるのでちょっと来なさい。」

10月2日、個体は種のために、種は個体のために

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