「北京ベルリン上海伊勢志摩！」
「まあリベリアよりはアジアですが。」
「ベルリンでモーツァルトのオペラ『魔笛』が上演されたそうです。」
「ただ、ちょっと上演された場所が特殊でして。」
「オペラハウスじゃなかったんですか。」
「地下鉄の駅だったそうです。」
「なにしろ声が響きますから。」
「いやまあそうですけど。」
「あとチケットのチェックもしやすいです。」
「自動改札なんですか？」
「あと椅子を用意しなくても、立つことに観客が違和感を覚えません。」
「手を抜くな。」
「そしてなにしろ左右に広いホームで効果的な演出ができます。」
「しかし俳優はたいへんでしょう。」
「せっかく広いステージですから左右にばーっと走ってもらいますので。」
「疲れますねえ。」
「そこは俳優と列車を合体させるので楽々です。」
「きかんしゃトーマスじゃないですか。」
「そしてステージに到着してピーッと魔笛を。」
「アメリカの公共放送PBSが新しい取り組みを始めたそうです。」
「なんですか。」
「未来の車に関するドキュメンタリーを放送したのです。」
「それのどこが新しいんですか。」
「いえ、本編よりも放送終了後に変わったことが行われるのです。」
「なんですか。」
「インタビューなどの放送素材をすべてノーカットで、しかもフリーで提供するのです。」
「ということは、その放送素材で自分だけの番組を作れるということですか。」
「そのとおりです。」
「それはたしかに画期的ですねえ。」
「なにしろテレビというのはちょっとした編集やイメージの作り方で、まったく違ったようにうつるものですから。」
「恐ろしいところですね。」
「何がマイケルか。」
「これもいろいろな番組でやるとおもしろいですね。」
「そうですね。」
「たとえばドラマなんかも。」
「それはストーリーが無茶苦茶になったりしませんか。」
「2時間ずっと崖の上のサスペンスドラマなんかも出来るわけです。」
「そのほかには押すなよ、押すなよ、絶対に押すなよと言われても押さないダチョウ倶楽部なども。」
「それはあまりにも残酷です。」
「このようにテレビ番組の構造をも根底から覆すことが出来るわけです。」
「覆さなかったほうが良かった気もするわけですが。」
「これが出来るまでは、放送終了後に放送されるつぶつぶの映像を編集して暮らすことにします。」
5月2日、映像の世紀。
