「誰か来て！立った人間をそのまま食べるという妖怪、『立ち食われそば』が現れたわ！」
「食うのか食われるのか。」
「どんな方法ですか。」
「まず平壌にある各国の大使館に接近します。」
「そうして大使館が捨てる古新聞を回収します。」
「はあ。」
「そうしてその古新聞を読み漁って情報を収集するという。」
「いえいえばかにしたものではありません。かつて秘密のベールにつつまれていたソ連の情報ですら、その国の新聞を丹念に読んでいくことで内情をほぼ正確に把握した方もいらっしゃったそうです。ましてや相手が民主主義国ではなおさら正確な情報源になりうるでしょう。」
「そんなお金が北朝鮮にあるとお思いですか。」
「ペンは剣よりも強しといいますのでミサイルの弾頭部分や戦車の防御板とかに。」
「もう剣や槍の時代ははるか昔ですが。」
「そんなわけなので北朝鮮にお住まいの外交官の方はいろいろと注意してください。」
「まあ言われんでもするでしょうが。」
「引越しや大掃除の時に、北朝鮮人のスタッフを入れるのはやめましょう。」
「畳の下に強いてある新聞を読まれてしまうかもしれません。」
「お弁当も新聞紙でつつまないようにしましょう。」
「所帯じみた外交官だなあ。」
「スペインのサグラダ・ファミリア教会の一部が完成し、教会としての使用開始のメドがついたそうです。」
「バルセロナのですか。」
「この教会はガウディが設計したもので、1882年の着工から現在も工事が続いているという教会です。一説では完成に200年かかると見られていましたが、全体の完成はおそらく20年ぐらい後になるそうです。140年ぐらいですから予想以上のペースです。」
「にしても時間かかりますねえ。」
「なにしろガウディの設計図の詳細は残されていないので、その全体像に沿うように、時代時代の建築家達が設計を行なって少しずつ建設しているからだそうですよ。」
「スタッフに入れる段階で気づいてください。」
「宮大工が多くなった時期には危うく木造になりかけたとか。」
「おかしいと気づいてください。」
「ですからもはや3分の2が完成したことは一種の奇跡です。」
「そこまでうっかり者の集団が集まったこと自体奇跡ですよ。」
「下手をしたら百数十年がパーです。」
「そう思うと怖いですね。」
「うっかり前提で話されてもなあ。」
