「紅白歌合戦の講和条約がまとまりそうだという噂ですよ！」
「間違いなくデマですから安心してください。」
「はい。」
「この病院は世界的なベストセラー、『ピーターパン』の印税収入を経営の重要な柱にして運営されているのです。」
「日本で言うと夏目漱石の『吾輩は猫である』の印税で運営される犬猫病院のようなものです。」
「まあ題材は近いかもしれませんが。」
「三島由紀夫の印税で運営される神社仏閣の保全機構のようなものです。
」
「横溝正史の印税で運営される不動産会社のようなものです。」
「ですがまあ、来年でピーターパンの著作権は切れてしまうのです。」
「著作権の引き伸ばしという問題はいろいろとありますが、こうしたかたちで行われるというのも珍しい話です。」
「まあそうですね。」
「著作権制度が確立してからまだ年月が浅いですが、何百年、何千年とたつとこういったことが重要になっていくかもしれません。」
「どういうことでしょうか。」
「病院や財団などの基金の中核になりうるピーターパンのような重要な作品は、70年ごとに新たな続編を書く必要に迫られるというわけです。財団の維持のために続編を書いてくれる作家、それは歴代の作品のイメージを壊さず、かといって面白くするのは絶対で、そしてそんな能力を持ちながら著作権主張をしない作家…。そんな作家を70年ごとに探さなければならないというのはたいへんなことです。」
「そういった作家を専門的にハントしていく事業なども注目されるようになるかもしれません。」
「そういった続編作家は人気が高いのであの手この手の交渉で続編政策に協力させます。」
「ボランティア精神のかけらもなくなりましたね。」
「ぴったりの作家がいない場合には、腕の立つ作家を拉致して作品を書かせ、なおかつ著作権主張をさせない裏工作をするダーティーな業者も。」
「そうすればそんな実態を暴くべく、業者の悪行をつぶさに描いたドキュメンタリー作品も発売されます。」
「まあしょうがないですね。」
「そしてそのドキュメンタリーの著作権を70年後にまた更新するために、新たな作家探しが行なわれていくわけです。」
「うっとうしい未来だなあ。」
「東レ合繊クラスターが開発した、大豆タンパク原料の繊維生産が事業化されるそうです。」
「なるほど。」
「大豆は最近ではインクなどにも使われており、21世紀という時代はますます大豆の使用が進んでいくことになるのではないでしょうか。」
「そうかもしれませんねえ。」
「これは一面ではいいことですが、問題となる面もあります。」
「どんなところですか。」
「そしてもうひとつが。」
「なんですか。」
「いらん懸念です。」
10月13日、まめまめまーめ。
