【これまでのあらすじ】
事件は解決したのだった。

 
  

いや実にすばらしい解決だったよ。

あまりにもぞんざい過ぎないか、あらすじ。

 
 
いいじゃないか、解決した事件のことを
いつまでも引きずってどうする。
そういうものかねえ。  
   

そういうものだよ事件というのは。

ホームズさん、こちらでしたか。

 
   
なんだ、レストレード君か。
事件がないときにはできるだけ
紙袋的なもので顔を隠して
もらえないかな。
 
あちらでヴィルヘルム・ゴッツライヒ・
ジギスモント・フォン・オルムシュタイン
ボヘミア国皇太子がお呼びですよ。
 
   
ふん。
あいつか。今頃もう王になって
やがるんだな。
ちょっとヴィルヘルム・ゴッツライヒ・
ジギスモント・フォン・オルムシュタイン
ボヘミア国皇太子二失礼な言い方
じゃないですかねえ。
 
   
失礼なのはお前だ。
あいつは王だ。王と皇太子では
カスタネットとシンバルぐらい違うぞ。

カスタネットですか。

 
   
そうだ、カスタネットだ。
叩いて休んで休んで叩いて休むんだ。
…まあいい。
なにか金目のものをくれそうだったらかわりに
もらっといてくれ。持ち逃げするなよ。
いや、直接お礼をと。  
   

ちっ礼か。あんな王野郎から礼など
もらっても嬉しくもなんともないぞ。

よく考えるとお礼されるようなことを
していないような気もするから
礼されるだけでももうけものじゃないのか。
 
 

そうか、得か!
得なら礼してもらおう!
さあ行くぞワトスン君、ぼやぼやするな、
国王陛下に失礼だぞっ!

…まったくなんというかなんと言うか。

 
 
相変わらず
毒の沼地のような人間性ですね、
ホームズさん。
 

ホームズさん、このたびはたいへん
お世話になりました。
こうして無事に王に即位できたのも
皆ホームズさんのおかげです。

 
 
なにをそのようなもったいない。
臣はただ陛下のお為を思って
勝手に微力を注いだまででございます。
そのようなお言葉を賜りまして、
まことに恐悦至極に存じ上げ奉ります。
なんだこいつ。  

ワトスン博士にもレストレード警部にも…
たいへんお世話になりました。
大英帝国へ帰国の際は、
私がチャーターしたキング・フリードリヒ号で
帰ってください。

き、キング・フリードリヒ号!
あのドイツ最高の豪華客船!
 
 

道中不足があったら遠慮なく
申し出てください。

あ、ありがとうございます慈悲広大にして
聡明無比なる陛下!
臣はたとえ遠き異国の空の下におりましても、
陛下の偉大なる君徳を忘れることはございます
まい!
 
 
陛下、こういう奴をのさばらせると
国はろくなことになりませんので
ご注意ください。
黙れっ!君側の奸!曲学阿世の徒!
譎詭妄動の輩め!
びしっ!ばしっ!ばしっ!
 
 


ぐわっぐはっぐははっ!

陛下…あの…
 
 

ホプキンス警部、あなたにもたいへん
お世話になりました。
心からお礼を申し上げます。

いえ…私なんて…
でも…私…陛下になんとお詫びをすれば
よいか…
 
 

お詫び?
いったい何をですか、
ホプキンス警部?

陛下の前で変装したりして、
陛下を欺いたりして…
 
 
はっはっは、そんなことですか。
女装していようが、一見少女に見えようが
スコットランドヤードに入った経緯が
怪しかろうが、あなたは、あなただ。
私は、あなたと友人になったんです。
ですから、それはいつまでもかわりません。
また、ボヘミアにいらしたら、前のように
コントラクト・ブリッジでもやりましょう。

あ、ありがとう、ございます、
陛下!

 
 

いいえ、ヴィルです。

はい!ヴィル!  
 
…なにか言うことはあるかい、
ホームズ。
臣はただ陛下の寛徳と清明なるお心に触れ、
恐懼に耐えずして涕泣するばかりでございます。
 
 

だめだこいつ。

それにしても…
アイリーン・アドラー嬢はあれから
どこへ行ってしまったんでしょう…。
たった一枚のハガキだけ残して…
ハイデッガー少年も知らないと…
 
 

さあ…
しかし、彼女のことだ、またどこかで
こんな、ネタハガキでも書いているの
だろう。
彼女は、そういう女だ。

全くでございます陛下の明智と洞察力には
甚だ驚嘆するばかりでございます。
 
 
彼女のことも気になるが…
ホームズさん、あなたへの謝礼を
忘れていた。何でもお望みのものを
用意させますが…。
いえ、私が欲しいものはたった一つで
ございます、陛下。
 
 
たったひとつ?

そのハガキでございます!

 
 

…わかりました。
どうぞお持ちください。

ありがとうございます!陛下!
何よりの報酬にございます!

 
 

そんなハガキほしがるほど、
アイリーン・アドラー嬢に
思い入れがあったのかい、
ホームズ。

しっ!黙ってろ!
僕の清廉さと純粋さを陛下にお伝えしたい
気持ちがわからんのかこのヒゲッ!
試験管ブラシ!

 
 

それにしても結局モリアーティ教授とは
なんのかかわりもない事件でしたねえ。
そもそもは、モリアーティ教授を捕まえ
ようとして始まった事件だったのに…

そうだったかなあ。
まあ、どんな事件の裏にもいるなんて
マンガじゃないんだからな。

 
 
いない?
そんなことはないさ、この事件の黒幕、
それこそがモリアーティ教授なのさ。

いや、全然出てこなかったが。

 
 

見たまえ!
これを!

こ、これは!

 
 

グリーンアースライフ2月特大号さ!

なんじゃこりゃっ!

 
 

そこに牛乳パックではがきを作る
記事を投稿したのがそう、モリアーティ
教授なのだっ!

何やってんだあのジジイ!

 
 

恐ろしい…モリアーティ教授…
あいつはいったいこの地球を
どうしようというのか…

保護じゃないのか。
 
 

とにかく奴が
いったい何を考えているのか…
せっけんは合成洗剤より量が
必要なので場合によっては
環境破壊になりやすいという
ことを知っているのか…
それを突き止めるまでは、僕の戦いは
終わりそうにもないよ…

知らねえよ。  
  

つまり戦いはまだ始まったばかりなのだと
いうことなのだよ。

あーそうか。
で、これからどうするって。
 
  まずはお前を殺して僕も死ぬっ!
なんでだっ!  

 

無事解決!
次回のホームズの活躍があればお楽しみに!

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